今シーズンは雪が豊富です。が・・・
2022年 01月 22日
90%が空気なのに窒息するなんて…。
雪崩でなくとも雪に埋もれて窒息死します。
フカフカの新雪は空気をたくさん含んでおり、降った直後であれば、その90%が空気で雪結晶は10%程度です。しかし、その新雪に埋もれ、窒息で亡くなる事故が起きています。これらの事故はNARSID(Non-Avalanche-Related Snow Immersion Death:雪崩によらない埋没死)としてデータ整理されています。北米のデータでは、1991シーズンから2012シーズンの22年間で64人がスキー場内で亡くなっており、同期間のスキー場内での雪崩死者の6倍です。さらに、死者の滑走技術は上級者が8割を占め、同行者がいたものの事故発生の瞬間に気づかず死亡事故となったケースが7割です。日本国内においては、その詳細について調査されておりませんが、日本雪崩ネットワークが調べた範囲において、2002シーズンから2017シーズンの過去16年間で18人がスキー場内においてNARSIDで亡くなっており、その8割をスノーボーダーが占めています。
安全対策の基本は、まずは地形を考えること、そして仲間と一緒に滑ることです。滑走の際は互いを視界の範囲におき、常に仲間の動向を把握してください。新雪滑走の際は、スキーヤーであればストックのストラップを外しておくことも大事です。窒息のメカニズムの詳細は把握されていませんが、雪や食べ物による気道閉塞、首の屈曲による体位性窒息、アイス・マスキングやエアポケットの欠如による低酸素血症など、雪崩による埋没と同じと考えられており、15分~30分程度しか残された時間はありません。埋没しそうになった場合、もし可能であれば、アイス・マスキングを遅らせるように両手で空間確保を試み、パニックになって無駄に酸素を消費しないように。自分で雪から抜け出せるのであれば、このような事故は起こらないわけですから、仲間が一刻も早く気づき助け出すしかありません。